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「一生天智天皇のサポート役」が求められた大海人皇子

古代史上最大の内乱戦争! 大海人皇子VS大友皇子 「壬申の乱」の通説を覆す! 第1回

大海人皇子は天智天皇のサポートが求められていた

 それに対して天智の同母弟(それを疑う説もある)である天武天皇は、大海人皇子と呼ばれていたが、当時は同母兄弟中の長子に皇位継承の優先権がみとめられていたので、二男である彼には将来の即位がかならずしも期待されていたわけではなかった。ちなみに、同母兄弟の相次ぐ即位は6世紀前半の安閑天皇→宣化天皇で終わっている。7世紀半ば、皇極天皇→孝徳天皇は同母姉弟による皇位継承であるが、厳密にいえば同母兄弟継承とはいえない。皇極が天皇になったのは彼女が舒明のキサキだったことによるのであり、彼女は同母兄弟中の長子という資格で即位したわけではないからである。

 即位前の天武は「大皇弟」と呼ばれており、それは天皇の弟殿下という意味の尊称であり、彼に皇位継承資格がみとめられていたわけではない。天武は終生にわたり、天智の弟としてそのサポートに徹することがもとめられていたといえよう。

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遠山 美都男

とおやま みつお

昭和32年(1957)、東京都生まれ。学習院大学文学部卒業。同大学大学院人文科学研究科博士後期課程中退。博士(史学)。著書に『聖徳太子の「謎」』(宝島社)、『日本書紀の虚構と史実』(洋泉社歴史新書y)など多数。


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